作り手の想いがこの地に宿るCraftsman in IBARAKI

光で「魅せる」達人ステンドグラスにかける夢

光で「魅せる」達人ステンドグラスにかける夢

茨城県水戸市東野町に工房を開いて30年。スラリとした長身と穏やかな話し方で物腰は柔らかいが、実は「モノをつくる」ことへのあくなき探究心を内に秘めた情熱家。日本においてあまり馴染みのないステンドグラスの今後の展望と、職人としての願いとは…

内と外をつなぐ表情豊かな建具それがステンドグラスです

ステンドグラスと聞いて、思いつくこと。教会、西洋館、ランプ…。いずれにしても、決して身近なものとは言えない。
 そんな固定観念を一蹴してくれるのが、茨城県水戸市東野町にある「ヴァルール」。創業30年を超えるステンドグラス工房で、オーナーの大橋浩二さんが手掛けるのはあくまでも生活に溶け込んだ「家具」としてのステンドグラス。その全てが手作業で、ひとつとして同じものがない。
「日本の障子だって、光を通すために木枠に和紙を張っている。最近ではあまり見かけなくなりましたが、すりガラスもそう。これらは言わば日本のステンドグラスなのです」そう言って見せてくれた工房の窓枠には、昔懐かしい型板ガラスが。際立った色使いではなく、質感や手触りなどの「テクスチャー」を楽しめるのは繊細な感性をもつ日本人ゆえ。
 幼い頃から、絵の具や画材がそこかしこに転がっているような家で育ったという大橋さん。自身も小学生のときに油絵に目覚め、それ以来ずっと独学で描きためてきた。かといって純粋に絵描きを目指したわけではなかった。「芸術家としてだけでは難しい」と冷静に自分自身を見つめ、一般企業に就職する道を選ぶ。それから4年後、地元である水戸市に戻り絵画商となるわけだが、その客観的な判断はここでも生かされ、客が何を求めるかを第一に考えた独自の買い付けで成功。昭和57年「ヴァルール」創設後は、これまで培ってきた独創的なセンスと丁寧な仕事に定評を得て、現在では一般住宅をはじめ学校や公共施設など、多くの場所で大橋さんの作ったステンドグラスを見ることができる。

日本古来の型板ガラスを利用してつくられた窓。日本の奥ゆかしさが表れた作品だ。

「ステンドグラス=色鮮やか」というイメージを覆す作品。木造の日本家屋にしっくりくる風合い。

大橋 浩二氏プロフィール

1953年4月4日 茨城県水戸市生まれ。芸術に造詣が深い伯父の影響で、常に芸術作品が身近にある環境に育つ。
芝浦工業大学・金属工学科に進学し一度は一般企業に就職するも、芸術への想いが強くなり地元・水戸市にて絵画商に転身。1982年、伯父に誘われステンドグラス工房を創設。教室も開く。県内外からの建築関連の注文も多い。